有馬温泉、今昔史
2023年10月20日
宿泊プラン
明治から昭和の変遷を巡る
日本三古泉に数えられるなど、長い歴史を持つ有馬温泉。
湯治場から観光地へ。
歴史が大きく動いた明治から昭和の変遷を巡ります。
有馬温泉は外湯だった
日に日に気温が下がり、温泉が恋しくなるこの季節。冬場の旅に温泉は欠かせないという方も多いと思いますが、実は有馬温泉がこの季節に賑わうようになったのは近代に入ってからのこと。交通インフラが整備されるまで有馬へは山を越えなければ行くことができず、今とは違い冬はオフシーズンだったそうです。
古くは第三十四代舒明天皇(五九三〜六四一年)、第三十六代孝徳天皇(五九六〜六五四年)が入浴を愉しんだ記録が残る有馬温泉。その後も、太閤秀吉をはじめ多くの偉人たちが効能豊かな湯に魅せられ湯治に訪れたと言われています。このように長きにわたって愛されてきた有馬温泉ですが、昔は冬がオフシーズンだったように、時代とともにその在り方は変化を続けてきました。例えば、内湯・外湯のスタイルもそのひとつです。現在では宿ごとに温泉がある内湯が中心ですが、昔は外湯しかなく入湯時間も限られていました。それが昭和に入って各旅館が内湯を作り始めたことで好きな時間に、かつ冬でも湯冷めすることなく愉しめるようになったわけです。
ちなみに明治・大正時代まで外湯として親しまれた本温泉は、現在の有馬本温泉「金の湯」がある場所にありました。温泉は一の湯と二の湯に分かれており、宿泊している宿によって利用できる湯が決まっていたそうです。
また、大正四年には三田駅〜有馬駅間を鉄道が開通。昭和三年には神戸電鉄が開通したことで神戸方面からのお客様も一気に増えたそうです。その後もモータリゼーションなどによって往来が容易になり、それとともに湯治客の多かった有馬は現在のような観光地へと発展を遂げ、内湯文化が広がっていきました。
過去には天災によって存続の危機に瀕したこともある有馬温泉。今では年中いつでも愉しむことができますが、元を正せばこの湯を愛した先人たちが後世にバトンを繋いできてくれたからこそ。この冬は先人たちに思いを馳せながら有馬の湯をご堪能ください。
日本各地の温泉を効能や観光地・保養地としての評価でランキングした温泉番付。明治時代の番付では「万病に効く」として、西の最高位「大関」に格付けされています。
激動の時代を駆け抜けた本温泉
昭和初期まで外湯として多くの人を迎え入れた本温泉。
明治から大正・昭和にかけての変遷を、当時の資料とともに辿ります。
時代が大きく動いた明治時代には、トレンドやニーズに合わせて本温泉の改修が重ねられました。
明治10年頃
この時代の本温泉は、古典的な宮殿づくりの外観をしていました。
明治15年頃
文明開化の影響を受け、明治16年に洋風建築へと一新。
大正15年頃
復古ブームの影響もあり、すぐに和風建築に回帰。
大正時代には三階建てに。
現在
本温泉があった場所には、有馬本温泉「金の湯」があります。
たくさんの商店が軒を連ねる太閤通りですが、昔はその場所に川が流れており、
川を暗渠化することで現在の通りになりました。
昭和3年に神戸電鉄が開通するまで有馬温泉駅周辺の土地には三軒の家しかなく、鉄道開通によって開発が進みました。
今も変わらない炭酸泉源公園
炭酸泉源公園の御堂は明治19年に建てられました。写真は 明治40年前後のもので、今もそのままの形で残っています。
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